医療法人の構成

医療法人の構成

2015年01月29日(木)1:28 PM

本日の質問

現在の診療所を医療法人にすることをを考えていますが、色々人を揃えなといけないと聞きました。どのような人を何人くらい揃えておく必要があるのでしょうか。 

本日の回答/行政書士 天川大輔

 

■医療法人の機関構成の概略

医療法人は株式会社と同様、国が一定の要件を満たすことを条件に、特別にその人格(存在)を認める法人ですので、自由にどのような方とも作ることができる、というわけではありません。

そこで、診療所等を医療法人化する際には、機関構成の面からは少なくとも以下の点を一度は検討する必要があります。

*医療法人はどのような機関から構成されているのか、
*それぞれの機関はどのような意味を持っているのか
*医療法人の機関を揃えるためにはどのような人の協力が必要なのか
*機関を構成するのに必要な人をそもそも揃えることができるのか
*お願いしようと思っている人で本当に大丈夫なのか

 

まずは、必要な機関構成の全体像を確認しましょう。

【役員-理事】  3人以上が必要(うち1人は理事長に就任)
【役員-監事】  1人以上が必要
【社員(評議員)】3人以上かつ理事定数以上が必要
【従業員】    常勤で1人以上が必要

 

■株式会社との比較

医療法人は株式会社と違い、営利行為(純粋な利益追求行為)が否定されていますので、両者は完全に一致するわけではありませんが、同じ法人として共通点も多いです。そこで、身近な株式会社と比較すると、機関構成の位置付けや役割が把握し
やすくなります。

 

【医療法人:理事】 ⇔【株式会社:取締役】  …業務を決定・実行する
【医療法人:理事長】⇔【株式会社:代表取締役】…法人を代表する
【医療法人:監事】 ⇔【株式会社:監査役】  …法人をチェックする
【医療法人:社員】 ⇔【株式会社:株主】   …法人の実質的所有者

従業員は両社とも同じ意味合い・位置付けです。

 

■「社員」とは

一番分かりにくい、「社員」というプレイヤーから見ていきます。「社員」は株式会社でいえば「株主」、つまり、その法人に出資、つまりお金を出してあげている人のことです。出資がなければその法人は、そもそも存在・活動することができません。社員とはその医療法人の「実質的所有者」、つまりオーナーです。日本では関連企業間での株の持ち合い等がよく行われており、株主の方の立場の強さが中々イメージしにくいですが、出資をしている(=お金を出している)方が本来は最も強い立場なのです。

 

そのため、この社員が集まって構成される「社員総会」(株式会社では「株主総会」)がその医療法人の最高意思決定機関であり、ここでの決定がどんな事情があれども、最優先となります。

 

よって、社員の人選は最も注意する必要があります。自分以外の社員全員が別の方針の賛成に回ってしまうと。。。これは結構笑えないことになってしまいます。

なお、一般的には従業員やスタッフの方を社員と呼びますが、上記のとおり、法律上は全く意味合いが異なりますので、ご注意ください。

 

■「理事」とは

理事の仕事は「医療法人の常務の処理」、すなわち日常的な事項の決定と実行です。
前回、医療法人の実質的所有者である社員で構成される社員総会が医療法人の最高意思決定機関であり、ここでの決定が最優先されるとお話しました。しかし、社員は常日頃から医療法人の業務・経営に携わっているわけではないため、決定事項全てに社員総会の決定が必要というのは現実的ではありません。


そこで、事実上は理事会(しかもそのうち特定の理事)が中心になって、病院等の経営は動いています。

 

理事は3人以上必要で、自然人に限られます(法人は不可)。成年者でなければいけないという決まりはないのですが、未成年者は基本的には不可という運用になっています。また、医療法人と取引関係にある株式会社の役員が理事に就任することはできません。利益相反行為(病院を犠牲にして私腹を肥やす)のおそれがあるためです。

 

医療法人になると一つまたは複数の診療所等を経営することになりますが、そこで管理者に就任した医師は、必ず理事に就任する必要があります。理事は3人以上必要とお話ししましたが、医師・歯科医師である理事のうち1人を理事長選任します。理事長は医療法人を代表することになります。

 

■「監事」とは

監事の主な仕事は医療法人の業務・財産状況の監査です。医療法人のチェック機関としての役割が期待されています。そのため、理事や従業員との兼務は禁止されています。また、理事の親族や出資している社員、取引関係者・顧問関係者も就任不可で、徹底した独立性・第三者性が要求されています。

 

設立時においても、理事や社員は家族等にお願いすることができますが、監事だけは全くの第三者でなけれないけないので、該当者を探すのに苦労するようです(実際は、同期等友人の医師に就いてもらうことが多いようです)。

 

■「従業員」について

これはそのままの意味で、医療法人の開設する診療所等でスタッフとして働いている方のことです。特に何名以上必要、という基準はありませんが、看護師、准看護師、歯科衛生士が常勤で少なくとも1名は勤務していることが申請時には要求されます。



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