配置転換の有効性

配置転換の有効性

2015年01月29日(木)1:50 PM

本日の質問

会計を担当する職員が消費者金融に多額の借金をしていることが分かった。金銭を扱う部署なので、他の部署へ配置転換したいと考えているが、問題ないか。

 

本日の回答/社会保険労務士 長友秀樹

「配置転換」は、病医院の人事権として裁量が広く委ねられており、特段に恣意的な理由が認められない限り、問題はないと考えられます。

本日のポイント

●配置転換とは、職員が従事している業務内容ないしは勤務場所を同一企業内において長期間にわたって変更するものをいいます。通常は、病医院が職員を採用する際に、業務内容や勤務場所が限定されていることはなく、雇用契約に基づき、病医院には包括的な権限(業務内容決定権・勤務場所決定権)が職員から委ねられていると解せられます。

 

●但し、雇用契約を締結する際に、病医院と職員との間で、業務内容や勤務地を限定する特約があるのであれば、企業が有する配置転換命令権は、その個別合意に拘束されることは当然と考えられます。

 

●それでは、限定特約がなければ、全ての配転命令が有効かというとそうではなく、病医院の裁量権を逸脱するような理由が認められる場合には、配転が無効とされることがあるのでご注意下さい。

 

●裁量が認められるかどかの判断要素は以下の各事項です。

・業務上の必要性の有無
・業務上の必要性があったとしても、当該配転命令が他の不当な動機・目的
 等をもってなされているかどうか
・業務上の必要性があったとしても、当該配転命令により労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益が生じているかどうか

 

●判例によると、具体的には以下のようなケースがありました。

 

【東亜ペイント事件 最高裁二小判決 昭61.7.14】

全国十数か所に営業所を構える企業に、営業担当者として勤務地を限定することなく入社した者が、家庭の事情を理由に転居を伴う転勤を拒否したため、懲戒解雇された事案。→配転有効

具体的に誰に対して配転命令を発するのかについては、会社側に大きな裁量があり、業務上の必要性が否定されるのは例外的な場合であるとした。

 

●このように、業務上の必要性については高度なものを求められていませんので、今回の問題においても、金銭を扱う業務に従事させることは不適切として、配転を行うことに問題はないと考えられます。



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