36協定とは

36協定とは

2015年01月30日(金)1:19 PM

本日の質問

職員に残業や休日出勤をさせるには「36協定を結ばなければならないと聞いたが、今のところ当院ではそのような協定を職員と結んだことはない。
当院は職員数5人の小さなクリニックだが、36協定は必要か?

 

 

本日の回答/社会保険労務士 長友秀樹

法定労働時間を超えて労働をさせる、または法定休日に労働をさせることがあるのであれば、職員数に関わらず事前に36協定を結び、労働基準監督署に届け出ることが必要です。

 

 

本日のポイント

●労働基準法で定める法定労働時間(1週40時間・1日8時間)を超えて、または法定休日(1週1日または4週4日)に職員に労働させる場合には、事前に「時間外労働・休日労働に関する協定」を結び、労働基準監督署に届け出ることが必要とされています。

 

●この定めが労働基準法第36条に基づくことから、一般に「36(サブロク)協定」と呼ばれています。


36協定には事業所の人数条件はなく、職員が一人しかいなくても、当該職員に時間外労働・休日労働をさせることがあれば、協定は結ばなくてはなりません。原則として、この36協定の締結・届出を行わずに、職員に法定時間を超える残業や法定休日の出勤をさせることは労働基準法違反(第32条)となりますので、ご注意下さい。

 

●病医院が協定を結ぶ相手は、事業所に
(1)労働者の過半数で組織する労働組合ある場合においてはその労働組合
(2)労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数
 を代表する者
と定められています。


本日のケースにおいては、少人数のクリニックに(1)のような労働組合が組織されていることはないでしょうから、通常は(2)が該当するでしょう。

 

●それでは、労働者の過半数を代表する者の決め方ですが、労働基準法施行規則第6条の2で次の要件が定められています。


(1)労基法第41条に規定する監督または管理の地位にある者でないこと
(2)労基法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であること

 

●(1)はいわゆる管理監督者の者のことで、時間外労働・休日労働に関する規制の対象外に当たる者は、代表者にはなれません。

(2)の具体的な方法には、投票、挙手のほかに、労働者間の話し合いや、持ち回り決議などで、民主主義的な手続きであることが必要です。

 

●36協定で必要となる協定事項は以下のとおりです。

 

【36協定の協定事項】

(1)時間外労働、休日労働をさせる必要のある具体的事由
(2)時間外労働、休日労働をさせる必要のある業務の種類
(3)時間外労働、休日労働をさせる必要のある労働者の数
(4)1日について延長することができる時間
(5)1日を超える一定の期間について延長することができる時間
(6)有効期間

 

●協定事項(5)については、協定さえ結べば何時間でもよいということではなく、厚生労働省の告示(平成10年労働省告示第154号)により限度時間が定められています。

 

【延長時間の限度】

・1週間… 15時間
・2週間… 27時間
・4週間… 43時間
・1ヶ月… 45時間
・2ヶ月… 81時間
・3ヶ月…120時間
・1年間…360時間
※上記は、対象期間が3ヶ月を超える1年単位の変形労働時間制の対象者を除く

 

●協定事項(6)については、最も短い場合でも1年間となります。実際に1年間とした場合には、毎年協定を結び直して労働基準監督署に届け出なければなりません。

 

●臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別な事情*が予想される場合、限度時間を超える協定(特別条項付き協定)を結ぶことが可能です。

 

*特別な事情の例

・内科で、冬期におけるインフルエンザ患者集中による診療時間延長、予防接種のための時間確保

・耳鼻科や眼科で、花粉症の時期における患者集中による診療時間延長など

 


●特別条項付き協定の概要は以下のとおりです。

(1)「特別な事情」は、臨時的なものに限ること

 

(2)「臨時的なもの」とは一時的又は突発的に、時間外労働を行わせる必要のあるものであり、全体として1年の半分を超えないことが見込まれるものを指す

 

(3)このため、特別条項付き協定を結ぶ際は、限度時間を超えることのできる回数を協定し、その回数については1年の半分以下とする。

 

(4)1年間についての限度時間(360時間)を超えて労働させる必要が生じる場合には、1年間についても限度時間を超える一定の時間を定める必要がある。

 

【協定例】

「一定期間において、時間外労働は原則1ヶ月45時間とする。但し、花粉症等による繁忙期における診療時間の延長、レセプト業務の著しい増大等、臨時の業務等の特別な事情がある場合は、労使の協議を経て、1ヶ月80時間、1年750時間まで特別にこれを延長することができる。この場合、延長時間を延長する回数は6回までとする。」



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