医療広告の重要性とその規制

医療広告の重要性とその規制

2015年02月04日(水)2:14 PM

本日の質問

来院数を増やすため、ホームページや広告など、情報発信をして自院の情報の露出を増やすことを検討しています。
医療に関する広告には何か規制があるのでしょうか。

 

本日の回答/行政書士 天川大輔

 

■医療の広告は重要な意味を持つ

どんなに技術水準を上げ、質の高いサービスを実現し、患者の方に高い満足度を感じて頂けるサービスを提供できる体制が整っていたとしても、そもそも潜在的な患者層に自院の存在を知って頂く機会がなければ、その効果を生かすことはできません。

そこで、自院に適切な広告戦略を考え、的確な情報発信をしていくことは、非常に重要な意味を持っています。

一方で患者の方から見ても、来院する病院を選択するにあたり、ある程度情報がオープンにされていないと、そもそも通う病院を比較・検討すること自体ができません。

中には自院の広告を出すことは積極的に患者を求めているようで、何となく抵抗がある、と感じられる方もいらっしゃいますが、自院の広告をすることは、患者の方が最善の選択をするための数少ない情報獲得の場の提供であり、結果的には患者の方のためになるので、積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 

■医療広告の難しさ

ただ一方で、医師(病院)と患者では圧倒的な情報量の偏りがあります。また、どれも専門的な内容になりますので、その適否を患者側が的確に判断することは極めて困難です。

 

そこで、病院が一方的に自由な内容・方法で広告をすることを認めてしまうと、患者のための広告なのに、逆に患者に不利益を与えることにもなりかねません。そこで、「医療法」という法律を中心に、医療広告には規制がかけられています。

「患者のためにどんどん有益な情報発信をしたい」という要請。
「患者を守るために行き過ぎた情報発信は規制しないとけない」という要請。

この二つの相反する要請の中で、いかにして効果的で、しかしコンプライアンス的には問題のない広告をしていくかがポイントになります。

 


■情報発信は完全な自由ではない

まず、医療広告を含む商業的な情報発信にはどんな規制がかかってくるのか
考えてみます。

大事なのは、商業的な情報発信、つまり営利的な表現であっても、基本的には「表現の自由」として憲法上保障されている、という点です。
営利的表現とはいえ、そこには様々な思想や工夫が入る余地がありますし、そのような情報が国民に伝達されることによって新しい発想や表現・行動のきっかけとなりうるからです。

 

ただ、誰しもが自由に制約なく商業的な情報発信をしてしまうと、行き過ぎた誇張や虚偽、不明確な情報がそれを目にする国民に触れてしまい、それを信じた者に損害が生じるおそれがあります。そのため、国は一定の公益目的等、業者に認められた表現自由を上回る価値がある場合には、その商業的な情報発信を制約することができます。

 

少し話が大きくなりすぎてしまいましたが、要は原則は、広告は内容も方法も自由、例外的に内容もしくは方法が制約される、ということです。

ただし、医療の場合は患者の方の健康・生命・ライフスタイルに直結する情報であり、何か問題があった場合のダメージは非常に大きいです。そのため、強めの規制が加えられる傾向にあります(実際の運用では原則・例外が逆転してしまっています)

 

■どんな規制根拠があるのか

医療に関する情報発信、すなわち医療広告は、主に次の根拠から制約されることになります。

 

*医療固有の制約根拠
 ⇒医療法・医療広告ガイドライン
*医療に固有ではない一般的な制約根拠
 ⇒景品表示法・薬事法・不当競争防止法・健康増進法など

他にも各種関連団体による自主的ガイドライン、マスメディアの自主規制などがあります。

このように、医療広告には様々な規制があるのですが、メインは何と言っても厚生労働省が作成した「医療広告ガイドライン」です。これは正確に理解しておく必要があります。

 

 



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