規制の対象となる「医療広告」とは
本日の質問
自院のホームページを作ろうと思っています。
ただ、医療に関する広告は規制があると聞きました。ホームページも規制されるのでしょうか。
本日の回答/行政書士 天川大輔
■広告規制の対象範囲
「医療広告」に該当すると規制の対象となる、というお話を前回致しましたが、病院等の情報発信が何でもかんでも医療広告として規制の対象になるわけではありません。
まずはスタート地点として、ここをしっかりと考えておく必要があります。あくまでもここで規制の対象となるのは「医療広告」であり、全ての情報発信ではないのです。
もし全ての情報発信が規制対象となってしまうと、学術論文も規制されるのか、という変な話になってしまいますから。
■規制対象である「医療広告」該当性の判断要素
そこで、規制の対象となる「医療広告」かそうでないか、の判断基準が重要となりますが、それは次の3点がポイントです。この3つに全て該当して初めて「医療広告」として規制されます。
(1)誘因性
(2)特定性
(3)認知性
「(1)誘因性」とは、自院への患者の誘引が目的であることです。例えば、学術論文は研究結果の発表が目的であり、患者の受診等の誘因が直接の目的ではありませんので、医療広告ではない、と判断されます。
「(2)特定性」とは、誘因先である病院等の名称等がそこから特定できることです。その誘因先が分からなければ患者を誘因しようがありません。そこで、ある特定の病院等がその情報発信から分からない場合は、医療広告ではない、と判断されます。
「(3)認知性」とは、一般人が認知できるような状態での情報発信であることです。例えば、自院に来院した患者のみを対象として配布する自院のパンフレットなどは、広く一般の不特定多数人を対象に情報発信しているわけではないので、医療広告ではない、と判断されます。
最後にまとめると、規制対象となる「医療広告」に該当するのは、自院へ患者を誘導し売上を上げることを目的としており、自院の情報がすぐに分かるように記載等されており、かつ不特定多数人の目に触れる状態になっている情報発信です。
誇大・虚偽等行き過ぎた営利的広告を制約し、患者の方に正しい情報を伝えることが趣旨なので、当然と言えば当然の要件です。ただ、中には該当するのかどうか判断が難しいものもあります。
■規制対象である「医療広告」該当性の判断要素
前回は、規制の対象となる「医療広告」かそうでないかの判断基準として、3つの要素が重要となる、というお話をしました。
「(1)誘因性」と「(2)特定性」と「(3)認知性」。
この3つ全てに該当すると「医療広告」として規制される。ここまでが前回です。
■具体的にはどのようなものが対象になるのか、ならないのか
ただ、現場における情報発信手段は多岐に渡ります。該当するかどうか、判断が難しいものもたくさんあります。そこで今回は、よく質問される主なものを紹介します。
※自院の看板
⇒該当します。自院のことを(特定性)受診する患者のために(誘因性)不特定多数が目にする方法(認知性)で表現しているからです。
※求人広告
⇒該当しません。あくまで自院への就職を希望・検討している者のみに対する情報発信であり、認知性・誘因性に欠けるからです。
※パンフレット、小冊子等
⇒該当する場合と該当しない場合があります。自院で診察を受けている患者の方を対象に、職員が作成した小冊子等の読み物は、不特定多数を対象としているわけではないので、認知性に欠けるので医療広告に該当しません。一方で、自院の患者に限らず不特定多数の方に配布する場合は該当することになります。
■一番分かりにくいホームページ
中でも判断が最も難しいのはホームページです。
まず、原則は医療広告に該当しません。
患者の方への宣伝を目的にしているし、当然自院の内容しかないし、誰でもアクセスできるので、前述の3要素からするとドンピシャで医療広告に該当しそうなのですが、原則は非該当です。一応、その病院を知っていないとアクセスしないだろうから、特定の人しか見ないため認知性に欠ける、というのが理由のようです。
一方で、医療広告に該当する場合もあります。それは、ネット広告(いわゆるリスティング広告・PPC広告)等お金を使う等してホームページを第三者の目に触れやすくした場合です。この場合、ネット広告自体はもちろんのこと、それによりリンクされるホームページも医療広告とみなされ、規制の対象となるので注意が必要です。
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