身元保証人の責任

身元保証人の責任

2015年02月16日(月)12:32 PM

本日の質問

職員が業務中の重大な過失により、高額な医療機器を破損してしまった。
当院では入職時に全職員から身元保証書を取得しているため、本件損害額につきその全額を、職員だけでなく身元保証人に対しても弁償を求めたいが、問題ないか。

 

本日の回答/社会保険労務士 長友秀樹

身元保証人に対して損害賠償責任を求めることは可能ですが、請求額が100%認められる可能性は低いでしょう。

本日のポイント

●新たに入職する職員に対して「身元保証書」の提出を義務付けているケースがよくあります。
 身元保証書には、親族などを身元保証人に立て、職員が病医院に損害を与えた場合に、その賠償責任を問う旨を定めています。

 

●身元保証契約は保証契約の一種であり、病医院と身元保証人との間で結ばれるものです。契約の内容は無制限に認められるものではなく、「身元保証ニ関スル法律」により、その損害賠償責任に制限が課されています。

 

●まず期間ですが、有効期間は最長5年までであり、これを超える期間を定めても5年とされます。期間の定めをしなかった場合には、原則として3年とされます。

 

●身元保証期間は更新することができます。但し、自動更新は無効とされる可能性があります。

 

●病医院には、職員に業務上不適任または不誠実な行為がある場合など、身元保証人の責任に影響を及ぼす場合は、これを身元保証人に通知しなければならないとされています。
 身元保証人は、このような通知を受けた場合、身元保証契約を解除することができます。

 

●実際に職員が病医院に損害を与えた場合の身元保証人の責任ですが、病医院側の過失の有無、身元保証を引き受けるに至った経緯等諸般の事情を考慮して裁判所が決定します。

 

●通常は全額賠償が認められることはなく、概ね2~3割程度の賠償を求め得るにすぎません。特に、前述の身元保証人への通知義務を怠っていたようなケースでは、賠償責任が軽減される傾向にあります。

 



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