広域医療法人としての展開

広域医療法人としての展開

2015年02月17日(火)2:17 PM

本日の質問

現在、当院は東京都のみで医療法人としてクリニックを経営していますが、今度、埼玉県でも分院を開設したいと思っています。どのような手続が必要になるのでしょうか。

本日の回答/行政書士 天川大輔

 

■「広域医療法人」とは何か?

 

「広域医療法人」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれませんが、これは実は法律用語ではなく、医療法のどこにもこのような単語は出てきません。


複数の都道府県にまたがって病院・診療所等を開設している医療法人のことを指す、俗称です。
ただし、都道府県のHPで普通に「広域医療法人」と出てきますので、行政も含めて一般的には通用するワードです。

 

■手続はどうなるの?

 

たまに、「広域医療法人となるためには医療法人の新規認可と同じで、一年に2回程度しか申請するチャンスがないんですよね?」と質問を受けることがあるのですが、あくまで広域医療法人も普通の医療法人には変わりがないので、この場合の手続は新規認可ではなく単なる分院開設の一パターンにすぎません。
つまり、特に手続期間の制限はなく、いつでも手続することができます。

 

通常の分院開設の場合との違いと言えば、所管が都道府県から国になるので、宛先が「都道府県知事」ではなくて「関東信越厚生局」となる点でしょうか。
その他は基本的には通常の分院開設と大きく異なる点はありません。

 

■どんな準備が必要?

 

手続は、通常の分院開設と同じく、「定款変更認可申請」という形で進められます。
そこで、社員総会等での決議を前提に、他の都道府県に分院を開設することを盛り込んだ新しい定款を作成する必要があります。もちろん議事録の作成も必要です。

 

加えて、定款変更後2年間の事業計画や予算書も作成します。分院の開設費用、分院開設による上乗せ経費、上乗せ売上を勘案しながら、医療法の趣旨である財務的な健全性、経営の永続性を充たすように作成することが必要です。

 

■最後に

 

医療法人新規認可申請の際に、いきなり複数の都道府県に分院を開設して広域医療法人になることは、医療法上特に禁止されているわけではありませんが、行政の運用レベルではまず認められないでしょう。そのような場合は、まずは本院のみで医療法人化をめざし、認可後、分院開設という形で広域医療法人化を目指すのが一般的です。分院開設が医療法人化後2年以内であるならば、もちろん認可申請時の事業計画、予算計画の中でも、この点について触れる必要があります。



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