知って安心!開業医のための「医師賠償責任保険」
本日の質問
近年、医療ミスにより訴えられるケースが増えていますが、患者さんからの訴訟に対応する保険はありますか?
本日の回答/ 生命保険協会認定FP 友部 守
日本医師会医師医師賠償責任保険があります。
日本医師会会員が対象(開業医は自動加入)の保険で、医師が医療事故を起こし、患者に身体の障害が発生した場合、その賠償と紛争の解決を日本医師会、都道府県医師会、保険会社の3者がバックアップする制度です。
医師が患者側から損害賠償請求を受けると、医師会に設置された医事紛争処理委員会で保険適用が妥当かどうかの審査が行われます。
保険会社から損害賠償金として支払われる補償限度額は1事故あたり最大1億円、年間1億円となっており、訴訟費用、弁護士費用等の訴訟費用は別枠となっています。
保険料は日本医師会の会費の中から自動的に支払われますので、同会の会員が損害保険会社と個別に保険契約の手続きを取る必要はありません。
なお、日医医賠責保険は、免責金額が100万円となっています。すなわち、損害賠償金が100万を超える場合に、その超えた部分についてだけ保険金が支払われます(100万円までは自己負担)。
この免責金額100万円については、その範囲の賠償責任に備えるための別枠の保険があります。各都道府県の医師会が契約者となり、加入を希望する医師は別途加入手続きが必要となります。
本日のポイント
患者の身体に障害が発生したり、具合が悪くなったり、死亡したりするなどの医療事故が起きた場合でも、直ちに損害賠償請求権が発生するわけではなく、損害賠償請求権の行使が訴訟の場で認められるためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
◆医師の過失
・医師として要求されるべき注意義務を十分に尽くしたにも関わらず、不幸にして事故が発生してしまった場合には、医師は患者から法的責任を問われることはありません。
◆過失と結果の因果関係
・医師に過失行為が認められ、患者が不幸にして亡くなってしまったとしても、その両者の間に因果関係がなければ、損害賠償責任は発生しません。
◆損害の発生
・損害の発生が損害賠償請求の要件となることについてはあまりにも当然のことですが、突き詰めて考えていけば、難しい問題が出てきます。