退職時の年休消化

退職時の年休消化

2015年01月28日(水)12:36 PM

本日の質問

2ヶ月後の退職を申し出てきた職員が、退職日までの間を未消化の年次有給休暇(以下「年休」と言います)40日分の消化に充てたいと申請してきた。当院としては一切認めたくないが、問題はないか。

 

本日の回答/社会保険労務士 長友秀樹

人員不足や引き継ぎの問題があったとしても、法律上は、この職員の年休申請を拒否することは出来ません。
どうしても当初の退職日間際まで稼働してもらいたい場合は、本人と話し合って退職日を先に延ばしてもらい、その間に人員体制や引き継ぎの問題を解消することなどを検討して下さい。

 

本日のポイント

 

●在籍中に年休をほとんど消化していなかった職員が退職する際、その年休を退職日までにまとめて消化したいと申請してくるケースがあります。

 

●ところが、その日数が相当数に達していると、シフトが回せなくなったり、引き継ぎが十分に行われないなどといった弊害が生じる恐れがあります。

●病医院には、職員が「事業の正常な運営を妨げるとき」に申請された年休に対して「時季変更権(労働基準法第39条第4項)」がありますが、退職時にはこの権利を行使することはできません。

 

●このため、原則は申請された年休を認めることになりますが、診療体制への影響を極力抑えながら、円満に退職してもらうためには次の対応策をとることをご検討下さい。

 

(1)本人と話し合って退職日を先に延ばしてもらい、その間に人員体制や引き継ぎの問題を解消する。本人にはその後希望の年休日数を全て消化してから退職してもらう。

 

(2)当初の退職日まで勤務もらい、未消化の年休については一定額で買い上げる。但し、極力買い上げ日数を抑えるため、診療体制に影響が少ない範囲で年休も消化してもらう。

*年休の買い上げは、退職時に未消化となった日数のみ認められています。
*買取額は日給相当が妥当ですが、法律上の基準はありません。

 

●法律上は年休を与えるのが原則です。特にやむを得ず上記(2)の対応策をとる場合は、職員本人と話し合い十分に納得してもらうことが重要です。

 

●また、一度年休の買い上げを行うと、今回のケースが前例として残り、今後退職する職員まで年休買い上げを希望してくるといった事態が起こる恐れがあるため、注意が必要です。



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