退職願の撤回

退職願の撤回

2015年02月06日(金)10:27 AM

本日の質問

昨日、当院の職員から自己都合による退職願を提出を受け取った。本人の辞意が固いため、その場で退職を認めたが、この職員が本日になって退職を撤回したいと申し出てきた。当院としては撤回を認めたくないのだが、問題ないか。

 

本日の回答/社会保険労務士 長友秀樹

人事権を持つ者が退職を受理した後は、労働者から退職の撤回や延期を求めてこられても、病医院がこれに応じる義務はありません。

本日のポイント

●一般に、職員からの退職願の提出は、労働契約解約の申し込みであり、これを病医院が承諾すれば、合意解約として退職が成立します。

 

●病医院の「承諾」は、過去の判例によれば「就業規則等に特段の定めがない限り、必ずしも書面による必要はない」とされ、院長や事務長など、院内の人事権を持つとされるものが受理したことで足りるとされています。 

 

●このため、本日のケースにおいても、退職を認めたのが院長などのように人事権を持つ者であれば、たとえ退職を受理した旨の書類を通知していなかったとしても、翌日になって申し出られた退職撤回に応じる義務はないことになります。

 

●退職願の撤回については、他にも以下のようなケースが想定されるため、ご参考までに例示しておきます。

 

<事例1>
院内で人事権を持っていない看護師長が、職員の退職願を受理。その日は辞意を撤回するよう本人を慰留し、人事権のある院長には回さず。翌日になって、本人が退職願の撤回を申し出。この時点で院長がこの顛末を知るところとなり、退職願の撤回申し出を拒否。
→退職願が人事権のある院長に受理される前に、撤回の意思表示がなされていることから、退職願の撤回が成立する。

 

<事例2>
パート職員の人事権を持つ分院長が、パート職員からの提出を受けた退職願に対し、代替要員が充足されるまで辞意を撤回するよう本人を遺留。翌日になって、本人が退職願の撤回を申し出。この時点で本院管理部がこの顛末を知るところとなり、退職願の撤回申し出を拒否。

→退職願が人事権を持つ分院長に提出されているが、分院長が退職を承諾していないため、退職願の撤回が成立する。



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