病院・クリニックにおける採用選考時の健康診断
2015年01月23日(金)12:27 PM
本日の質問
採用選考の段階で、応募者に健康診断結果を提出させたい。以前採用した職員が入職直後から病気欠勤を繰り返して退職したという事例があったため、健康状態を採用可否の判断材料としたいが、問題ないか。
本日の回答/社会保険労務士 長友秀樹
病医院には採用の自由が認められており、その一環として労務提供に必要とされる範囲での健康診断結果の取得であれば適法となります。
本日のポイント
●採用選考の段階においては、病医院と応募者との間に未だ雇用関係はありませんが、そのような状況下であっても応募者に、健康診断結果の提出を義務付けることが法的に可能なのでしょうか?
●この点について、ハローワークなどの行政機関では「応募者の適性と能力に基づいた採否決定ではなく、就職差別につながる恐れがある」として、慎重な対応を求めています(「採用のためのチェックポイント」厚生労働省)。
●しかしながら、過去の裁判例においては使用者に広く採用の自由を認めており、その一環として労務提供に必要とされる範囲で、応募者に健康診断結果を提出してもらうことは直ちに違法となるものではありません(B金融公庫(B型肝炎ウイルス感染検査)事件 東京地判平15.6.20)。
●但し、診断項目によっては、本人のプライバシー侵害に該当して違法となるケースもあるのでご注意下さい。
例えば、本人の同意なくB型肝炎ウイルスに関する病状を調査したり、HIV検査の結果を提出させることは、特に業務上の必要性が認められない限り、採用選考段階では避けた方がよいでしょう。