業務上横領に対する懲戒解雇

業務上横領に対する懲戒解雇

2015年02月17日(火)3:17 PM

本日の質問

当院の事務長が不正経理を行い医院の金品を横領している疑いが強まった。
状況証拠により明らかで、本人に事情を確認したうえで事実を認めれば、懲戒解雇にするつもりだが、問題ないか。

本日の回答/社会保険労務士 長友秀樹

懲戒解雇が有効と認められる可能性は高いといえますが、証拠を押さえるなど事実確認を十分に行ったうえで慎重に進める必要があります。

本日のポイント

●業務上横領は刑事犯であり、職場でこのような行為が行われた場合、組織の規律維持の観点から、当該職員を厳罰に処する必要性は極めて高いといえます。

 

●法的には就業規則に、業務上横領により「刑事罰を受けたとき」もしくは「刑事罰を受けることが明らかなとき」と規定していれば、裁判などによる事実認定を待つことなく、医院の判断として懲戒解雇を命じることが可能です。

 

●実務上は、本日の問題のように状況証拠と本人の言質を押さえた段階でもって発令しなければ、証拠隠滅の恐れや職場の規律維持のうえで、問題となることが多いでしょうから、就業規則を上記のように規定し、柔軟に対処できるようにしておくことが大切です。

 

●但し、この場合、裁判に発展する可能性も踏まえて、証拠を押さえるなどの事実確認は十分に行っておきましょう。

 

●過去の裁判例では、故意が認定されるものであればよいのですが、「事務処理が不慣れ・ずさんなために不正経理となった」とか、「ミスを穴埋めするために架空の出金操作を行って帳尻を合わせた」といった事例では、懲戒解雇が否認されています(いずれも普通解雇は有効)。

 



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