疑問解決!医療法人のM&A承継におけるポイント

疑問解決!医療法人のM&A承継におけるポイント

2015年01月23日(金)2:01 PM

本日の質問

一人医師医療法人の理事長です。高齢のため承継か解散を考えています。子息は医師でなく、後継者候補の勤務医の確保も困難な状態にあります。


医院は無借金であり、お金に困っているわけではありませんが、付き合いの長い患者さんや職員に迷惑をかけないように医療法人の売却承継(M&A)を考えています。

医療法人のM&A方法について教えてください。

またM&Aを依頼する場合は仲介会社を活用すべきでしょうか。

 

本日の回答/税理士 吉田正一

医療法人の承継型M&Aは 次の方法があります。
・売り手(=今回の相談者)の医療法人を消滅させる
・売り手の医療法人を存続させる


・売り手の医療法人を消滅させるとは

承継を図るとは医療法人という法人格を法的に消滅させながら、売り手の医療法人の患者、職員、施設・設備を引き継ぎ、医療提供機能を承継するということです。

 

・売り手の医療法人を消滅させる例
(1)買い手の医療法人が 売り手の医療法人を吸収合併する
   =2つの医療法人が 1つの医療法人になる

(2)医療法人の有形財産(設備・設備等)を売却承継する

  =無形財産の患者、職員を承継することで価値(のれん)を上げる

  →売り手の医療法人は法人格という器だけになるので解散させる

 

・売り手の医療法人を存続させるとは

医療法人という法人格はそのまま存続させるが、出資者、社員総会、理事会のメンバーを変えることにより売り手の医療法人の患者、職員、施設・設備を引き継ぎ、医療提供機能を承継するということです。


・売り手の医療法人を存続させる例
 ・売り手の医療法人の出資持分を買い手の医療法人の出資者に売却する

 

これらの手法を比較しながら 次が少ない方法を採用するのが ポイントです。
・引き継ぐ患者や職員への影響
・不動産、仕入、借入の契約への影響
・M&A対価(出資持分の買取額、退職金、リースや借入金の返済額)
・職員との労働トラブル、退職、解雇 
・追加投資(開設までの設備)

 

 

M&Aの仲介会社に依頼すべきかどうかについて

 

→ M&A仲介会社へ依頼する前に理事長の人脈内で副院長候補を探すべきです。

M&Aによる第三者への売却承継より副院長に勤務してもらいながら、承継を進める方法(MBO)の方がアフタートラブルは少ないです。


理事長の人脈内とは
・近隣病院の勤務医
・出身大学、勤務していた病院等
・医薬品卸、医療機器、検査会社等の営業
・門前薬局、金融機関


理事長の人脈内で副院長候補を探す主な理由
・仲介会社へ依頼後では、副院長探しに行動規制があるかもしれない
・人脈内で副院長候補にたどり着くには、時間がかかる
・仲介会社手数料のコスト負担など承継者の負担が少なくて済む


仲介会社に依頼する場合は、業務範囲を確認する
・買い手探し
・財務、法務、労務の情報整理
・引き継ぐ職員の面接、雇用契約書の締結
・治療途中の患者について 医療方針の話し合い、患者への説明
・都道府県、厚生局等への届出
・取引先(仕入先、金融機関、不動産大家)との取引条件の話し合い


仲介会社から買い手を紹介された場合、買い手の目的を知る
1)勤務医が そこのエリアでの開業を希望している
2)医療法人が 分院拡大先の一つとして検討している
3)転売を目的としている


買い手の目的とM&Aアフタートラブルの関係を知る
1)の場合
  経営能力不足による 患者や職員への影響を抑えるのが ポイント
2)の場合
  採算性の悪さにより 患者サービス低下、職員解雇を生じさせない
  ことが ポイント
3)の場合 仲介会社との関係を解除する
  



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