セクハラに関する使用者責任

セクハラに関する使用者責任

2015年01月29日(木)10:18 AM

本日の問題

全員参加の忘年会で男性管理職が、部下の女性職員に抱きつくなどのセクハラ行為を行い問題となった。女性職員は男性管理職を訴える構えだが、同時に当院も訴える様子。当院の責任はないと考えるが問題ないか。

 

本日の回答/社会保険労務士 長友秀樹

本件においては、病医院にも使用者責任が認められる可能性があると考えられます。

 

本日のポイント

●セクシュアルハラスメント(以下「セクハラ」と言います。)に関して、被害職員が訴える場合、その対象には加害職員だけでなく、加害職員を雇用する病医院も含まれるケースがあります。

 

●このような場合に病医院が訴えられる根拠は、民法715条による「使用者責任」であることが多いようです。使用者責任は、職員が職務の執行につき、他人に損害を与えた場合に、使用者に、その損害を賠償する責任を負わせるものです。

 

●使用者責任が問われた場合には、セクハラ行為と職務との関連の有無がポイントなります。職場内や、職場外であっても就業時間中の行為であれば、職務との関連が強く認められますが、今回のケースのように職場外でかつ就業時間外に行われ
たケースではどうでしょうか。

 

●この点に関して過去の判例では、「上司としての立場や権限」を利用した行為については職務関連性を認める傾向にあります。

 

【大阪セクハラ(S運送会社)事件 大阪地判平10.12.21】

就業時間外の宴席二次会において、女性をソファーに押し倒す、顔を近づける、手の甲にキスをする、スカートをたくし上げようとするなどの男性の一連の行為は、性的自由や人間の尊厳を傷付ける違法な行為である。そして、就業時間外であっても、男性の行為は、女性に対して職務上上位にあるという地位を利用して、業務に関連して行われた違法なものである。さらに、
会社もその男性上司にかかる責任を負う。

 

●上記判例ように、管理職の行ったセクハラは厳しく判断され、病医院にも、広く責任を認める傾向にあります。このような事態を防ぐためには、特に管理職(一般職も同様ですが)に対して、セクハラの予防に関する教育を十分に実施しておくことが大切です。

 



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