始末書の提出拒否
2015年01月29日(木)11:07 AM
本日の質問
職員が不祥事を起こして懲戒処分を科すことになった。ところが、本人が始末書の提出を拒否してきた。始末書の提出は就業規則でも規定されており強制したいが、問題ないか。
本日の回答/社会保険労務士 長友秀樹
始末書の提出を命じること自体は可能ですが、どうしても本人が応じない場合は、それ以上強制できるものではないと考えられます。
本日のポイント
●一般に、始末書とは、職員が不祥事等を起こした時に、その事実の顛末や本人の謝罪・反省の弁を書面において書かせるものをいいます。
●始末書の提出を求める主な目的は、職員の指導や不祥事の再発防止、職場秩序の回復にあると考えられます。
就業規則においても、懲戒処分として、譴責や減給、降格などといった処分の中で、始末書の提出を命じるよう定められていることが多いでしょう。
●上記の目的に照らして、また懲戒処分として、病医院が当該職員に始末書の提出を命じること自体は、特段違法性があるとはされていません。
●しかし、本人が提出命令を拒否し続けた場合、病医院としてどこまで強制できるのでしょうか。あるいは、提出拒否をもってさらに業務命令違反として処分を科すことができるのでしょうか。
●過去の裁判例によると、始末書といえども、謝罪や反省を強制するというのは個人の自由意思を侵害するものであり許されないという見解をとっています。
●このため、今回のケースのような場合では、謝罪や反省を書かせることができなくても、事実の顛末くらいは書面に残させるといった方法も考えられるでしょう。
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