管理監督者の要件
本日の質問
当院では、看護師長は管理職として、残業代の支給対象外としているが、本人から「私は管理監督者ではないから残業代を支払ってほしい」という要求を受けた。要求に応じるつもりはないが、問題ないか。
本日の回答/社会保険労務士 長友秀樹
「病医院の管理職=労基法上の管理監督者」ではありません。労基法で時間外労働・休日労働の適用外となる管理監督者に該当するかどうかは、名称に関わらず実態により判断されるため、ご注意下さい。
本日のポイント
●労働基準法第41条第2号では、管理監督の地位にある者(いわゆる管理監督者)は、労働時間、休憩、休日に関する規定の適用が除外されると定められています。
つまり、管理監督者が法定労働時間(1週40時間、1日8時間)を超えて、または法定休日(1週1日または4週4日)に勤務しても、時間外割増賃金や休日割増賃金の支払い対象にならないことになります。
●但し、「管理職=管理監督者」ではない点にご注意下さい。
「管理職」とは個別の病医院においてその役割や呼称が異なるもので、部下の管理などを行っていたといても、必ずしも労働基準法で規定する「管理監督者」に該当するとは限らないからです。
また、管理監督者かどうかは、名称に関わらず実態により判断されますので、例えば病医院で「リーダー以上は管理監督者とする」と定めても、実態により否認される可能性はあることをご留意下さい。
●さて、管理監督者性の判断基準として、厚生労働省が下記の通達を出しています。
「部長、工場長等労働条件その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」(昭和63.3.14基発150号)
上記通達だけでは抽象的で分かりにくいですが、具体的には過去の判例などから主に次の3つの要素に留意して判断されています。
(1)職務内容、責任と権限
決裁や人事(採用・評価等)、勤怠などの権限をどの程度与えられているか など
(2)勤務態様
出退勤が本人の裁量に任されているか、遅刻・早退時に賃金を控除されていない など
(3)賃金等の待遇面
賃金が役職手当や賞与などにより一般職の水準と一定の較差がある など
●最後になりますが、管理監督者は労働時間、休憩、休日に関する規定の適用が除外されていますが、深夜労働の適用は除外されていない点にご注意下さい。
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