成長医院の決算書の見方
本日の質問
毎年、分院を増やしている診療所の院長です。
各分院の損益計算書は毎月チェックしていますが、他に見るべきポイントはありますか。最近分院が増えすぎて、私の目の届かない状況にあります。
本日の回答/税理士 吉田正一
成長スピードが早すぎる病医院は 大きな失敗を見過ごしやすいです。 決算書に失敗の兆候が出ていないかチェックしてはいかがでしょうか。失敗の兆候とは指標が過去(5年~10年前)より悪くなっていることです。
● 失敗の兆候を見る指標として有効なのは次の4つです。
1)総資産対経常利益率=各決算期の経常利益÷総資産
2)自己資本比率=各決算期の純資産÷総資産
3)固定比率=固定資産÷純資産
4)売上高経常利益率=各決算期の経常利益÷売上高
● 自由診療、物販、介護事業など 多角化している場合、各事業の売上金額、構成比 過去から追跡することも有効です
● 上記指標や各事業の売上構成比が見えてきたら、院長がこれらの指標等の目標値をコミットメントして決算書で達成されたかチェックすることも有効です。
決算書に慣れていない院長は事務長等に直近5期~10期分の決算書から指標を算出するように指示してみてください。
1)総資産対経常利益率について
失敗の兆候を見る上で最も重要な指標です。過去の総資産経常利益率より当期の総資産経常利益率が低下している場合、経営効率が落ちていることを意味します。
2)自己資本比率について
財務の安全性を示す指標です。自己資本比率が低下している場合金融機関等から資金調達され、長期的な財務安全性が落ちていることを意味します。財務安全性が健全である目安は30%以上です。
3)固定比率=固定資産÷純資産
設備投資による財務リスクを示す指標です。固定比率が上昇している場合 設備投資が過大であり 投資回収力が低いことを意味します。固定比率の適正目安は100%以下です。