病院会計準則のポイント
本日の質問
一般企業(経理)から今の病院(医事課)に転職してきました。
一般企業会計と病院会計準則の違いを教えてください。
本日の回答/税理士 吉田正一
● 病院会計準則は 管理会計用の会計基準
病院会計準則は、経営判断に役立たせるための会計基準であり、施設単位で作成することを前提としています。
病院ごと各会計年度に貸借対照表、損益計算書のみでなく、キャッシュフロー計算書、付属明細書を作成する必要があります。
● 消費税の会計処理は 税抜経理が強制されます
病院が消費税の課税事業者か否かに関わらず、税抜経理が強制されます。
● 貸借対照表の違い
【流動資産】
・受取手形がありません → 受取手形が生じた場合、未収金に計上して注記します。
・医業未収金と未収金(医業外)を区別します
・診療材料の科目が追加(貯蔵品と区別します)
【固定資産】
・建物附属設備の科目がありません → 建物へ追加されます
・電話加入権の科目がありません → そのほか無形固定資産の科目へ吸収します
・医療用器械備品、放射線同位元素の科目を使用します
・減価償却累計額を表示する間接控除方式が原則(直接控除しない)
・繰延資産がない → そのほか無形固定資産の科目へ吸収します
【固定負債】
・減価償却資産の取得に充当した補助金は固定負債(長期前受補助金)へ計上して耐用年数に応じて、収益(医業外収益)計上します。
・土地の取得に充当した補助金は、純資産に計上します
そのほか施設間の資金移転については
・他会計貸付金、他会計借入金の科目などを利用します
● 病院会計準則は 管理会計用の会計基準
病院会計準則は、経営判断に役立たせるための会計基準であり、施設単位で作成することを前提としています
病院ごと各会計年度に貸借対照表、損益計算書のみでなく キャッシュフロー計算書、付属明細書を作成する必要があります。
● 消費税の会計処理は 税抜経理が強制されます
病院が消費税の課税事業者か否かに関わらず 税抜経理が強制されます
● 病院会計準則と一般企業会計では、損益計算書の科目名と表示場所が異なります
【医業収益】
一般会計を医療機関に適用する場合、医業収益は消費税の違いに合わせて保険診療収益と自由診療収益などの科目や役務提供高などの単一科目を用いることが多いですが、
病院会計準則では次の7つの科目を医業収益とします。
1.入院診療収益 2.室料差額収益 3.外来診療収益 4.保険予防活動収益
5.受託検査・施設利用収益 6.その他の医業収益 7.保険等査定減
【医業費用】
一般会計では 売上との対応関係の違いに合わせて、売上原価、販売費及び一般管理費を用いますが、病院会計準則では医業費用で一括され、医業費用は次の8区分とします。
1.材料費 2.給与費 3.委託費 4.設備関係費 5.研究研修費 6.経費 7.控除対象外消費税等負担額 8.本部費配賦額
医業費用のそれそれのポイントを整理すると下記の通りです。
1.材料費のポイント
・医療消耗器具備品費 と 6.経費(消耗器具備品費) を区別します
・給食用材料費 と 患者外給食用材料費(医業外費用)を区別します
2.給与費のポイント
・常勤職員給料、非常勤職員給料の科目はありません
・病院の役員分の給料は 給与費に含まれます(役員報酬の科目はありません)
3.委託費のポイント
・委託費が 6.経費から独立さました
・その他の委託費について金額のおおきい外部委託費は独立科目を設ける必要があります
4.設備関係費のポイント
・固定資産税等 と 6.経費(租税公課) は区分します
6.経費のポイント
・福利厚生費は 経費に計上されます(給与費ではなく)
・職員被服費は 経費に計上されます(福利厚生費ではなく)
・医業貸倒損失は経費に計上されます
8.本部費配賦額のポイント
・管理部費用、広報、資金調達、施設間の共通経費などが該当します
・従業者数、患者数、面積、総資産、売上など 合理的な方法に配賦します
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