電話当番=残業?クリニックにおける休憩時間中の電話当番
本日の質問
当院では職員に対し、昼の休憩時間中は患者からの電話や業者などの来客があった場合に備えて、クリニックを留守にしないよう命じている。
何も用件がなければ自由に過ごしてもらっているので、特にその時間分の賃金は支払っていないが、問題ないか。
本日の回答/社会保険労務士 長友秀樹
休憩時間であっても電話番や来客対応を義務付けていると、その時間はいわゆる「手待ち時間」と判断される可能性が高く、その場合は労働時間として賃金を支払わなければなりません。
本日のポイント
●本日の問題のように、職員に休憩時間中の電話番や待機番をさせているが、その時間の賃金の考え方について疑問を持っているクリニックは多いようです。
経営側からすると、電話番や待機番といっても、電話や来客のない時間は控室でくつろいでいていいのだし、労働時間には当たらないのでは(つまり賃金は発生しないのでは)と考えたくなります。
●とはいえ、実際に電話や来客があった際に、相手に失礼な言動をしてしまえば職務上の注意・指導を受けたり、対応について院長先生や事務長に結果報告をする義務があるのが通常です。
従って、このような時間は使用者の指揮監督下にあるとされ、いわゆる「手待ち時間」として労働時間であると判断されるため、賃金の支払いも必要となります。
●クリニックがとれる対策としては以下のような方法があります。
1)職員に電話番・待機番を命じない
・電話対応や業者対応は、原則として管理者が引き受ける。
・休憩時間の電話は、留守電対応または管理者への転送設定に切り替える。
2)職員に電話番・待機番を命じる
・当番制にして対応する時間帯と職員を決めたうえで、
→当日の当番には時間をずらすなどして、別途休憩時間を与える。
→その時間分の賃金を手当として支払う。
(これにより法定労働時間を超過する場合は、時間外労働割増賃金の支払いも必要)