金融機関の評価を上げる

金融機関の評価を上げる

2015年01月29日(木)10:58 AM

本日の質問

収益状況が同じ他院と比較すると当院の借入金利は高く、借入条件が悪い気がします。

金融機関の評価を上げる方法を教えてください。

本日の回答/税理士 吉田正一


収益状況(=借入返済原資)が同じでも、財務情報の開示能力の違いにより金融機関の評価は変わります。


例えば
・試算表が毎月見れない
・試算表が発生主義でない
・現金管理がどんぶり勘定 

などの病医院の財務情報の開示能力は低いため、金融機関からの評価も低くなります。


財務情報の開示能力の高さとは
・試算表が毎月タイムリーに作成される
・試算表が発生主義により作成される
・決算書が中小会計要領等により作成される ことを言います

 

財務情報の開示能力を高めるには次の対応が必要になります。
・自社の会計ソフト導入
・顧問税理士の月次顧問
・経理専任者の雇用 など


● 財務情報の開示能力を高める流れ
1.現金帳簿の整備(既にメルマガ記事に掲載済)
2.発生主義の徹底
3.決算書に中小会計要領等チェックリスト添付(顧問税理士へ相談)

 


● 現金帳簿を整備するとは
1)窓口入金→窓口金を預金へ預入
2)小口経費の支払→小口現金を預金より補充 

を帳簿に記載して、毎日 現金残高を計算して、実査して突き合わせることです。

収益状況(=借入返済原資)が同じでも、財務情報の開示能力の違いにより金融機関の評価は変わります。

 


財務情報の開示能力の高さとは
・試算表が毎月タイムリーに作成される
・試算表が発生主義により作成される
・決算書が中小会計要領等により作成される ことを言います

 


発生主義かどうかは
・売掛金(保険請求債権)が毎月動いているか
・買掛金(医薬品卸債務)が毎月動いているか
・減価償却費が毎月見積計上されているか
を見れば、わかります。

 

売掛金、買掛金等が毎月動いていない試算表は発生主義ではありません。
(現金主義です)


発生主義により 売上、仕入を計上するとは
・売上は 医療サービス提供時に計上して   
・費用は 医薬品納品時など取引発生時に計上することです。


当月の売上は
当月の保険請求金額+当月の窓口負担金収入となり

 

当月の仕入は
当月の医薬品卸からの請求金額となります。

収益状況(=借入返済原資)が同じでも、決算書の信頼度が高い方が金融機関の評価を上げることができます。


決算書の信頼度を高める例が中小会計要領により決算書を作成することです。


中小会計要領とは中小会計要領は 中小企業庁、金融庁、日本商工会議所等が 平成24年に公表した オーナー会社向けの会計基準です。


現在 中小会計要領の普及強化期間中であり、適用事業者に対して 借入金利や保証料の引下げの金融支援があります。

中小会計要領の目的は決算書の作成負担を増やさず、信頼性を向上させることです。


中小会計要領の特徴はほとんど 法人税法の基準が適用されており、決算書の作成負担を増やさない工夫をしていることです。

 

法人税法と異なる点は
・減価償却を規則的に計上すること
・賞与引当金、退職給付引当金を計上することであり


例え赤字であっても
減価償却費を 規則的に計上すること
賞与引当金として 翌期支給賞与のうち当期負担分を計上することを求められます

 



«   |   »

過去の記事

メルマガ購読・解除
医療経営ノウハウ集
   
バックナンバー
powered by まぐまぐトップページへ
Return to Top ▲Return to Top ▲